「天つ風に」 初めの方
「空気さん、いつも音を
届けてくれてありがとうございます」
空気へ感謝の言葉を述べる
つまり空気への祈り
それが幼い頃の私の習慣でした
「あなた、いい音を出すわねぇ
素質があるわ
このまま頑張っていけば
大きな舞台で吹くことも夢じゃない」
誰もが私のトランペットをそう褒めた
そう…誰もが…
親や先生はもちろん
全く知らない人からも…
全く知らない人の中には
トランペットを吹くことを生業にしている
いわゆるプロの方も居た
幼い頃はよく「音がいい」と褒められた
よく伝わってくる
クリアに聞こえる
心地よい響き
何かが君に協力しているようだと
今ならわかる
確かに何かが私を手伝ってくれていたと