風上、再び 結 Another side
「気に入れば・・・だが。」
綺麗な響き・・・。
これが私の名前・・・。
・・・どんな意味かな??
「・・・意味は?」
「異国の言葉『sierwinde』からとった。
これを英語読みすると「シエラウィンデ」になる。
この言葉が意味するのは『あさがお』だ。
丁度この時期に咲く絢爛な花だ。」
「じゃあ、花ことばは?」
「『固い約束』。」
固い・・・約束!
そう。
私の約束は絶対。
破られることがとても怖い。
そのことを承知でセキリュウは
この名前を考えくれたんだ。
「シエラ・ウィンデ・・・。」
私にぴったりの
名前だと思わない?
風さん♪
だよね♪
「sier『wind』e・・・。風・・・。」
これが私の名前!!
早くなれないと・・・!
風さん!
この名前で私を呼んでね♪
セキリュウの付けてくれた名前・・・。
「シエラ・ウィンデ・・・いい名前・・・。
セキリュウ、あなた詩人だね♪」
「詩人?私はただことばを無造作にくっつけただけだよ。」
それが凄いのよ♪
その顔は・・・照れてるのね♪
「ありがとう♪」
「喜んでいただけて光栄だよ・・・シエラ。」
あとはやっぱりお話をした。
セキリュウは自分のことを色々話してくれた。
「自分をさらけ出す」って言葉が
ぴったりな位。
最後にセキリュウはさっきまでとは
全く違う話を切り出した。
「いくら人から裏切られても・・・傷つけられても・・・
人を信じる心は忘れないことだ。
私のように疑り深くなってはいけない。覚えておきなさい。」
・・・親みたい。
今の私には親がどんなものかは
よくは分からない。
覚えてないから。
でも今のセキリュウが友達として
話してないことは分かる。
そして言葉には暖かみがあった。
そして、この話はとても私に響いた。
約束を破られることが怖い
私はまだ人を信じられる。
人を信じられなくなりそうになったときは
この言葉を思いだそう。
なんでも乗り切れる気がする・・・。
「もうそろそろ夕暮だ。」
セキリュウは
意図的に話を変えた様だった。
「・・・そうだね♪いい風、いる?」
「ああ、頼む。」
夕暮れに照らされている
町はとても綺麗。
こんなにも町が綺麗に見えたのは
・・・初めて。
私に名前を付けてくれたセキリュウと
私は立ってる。
明日が希望に満ちている気がする。
迎えに行こう・・・明日を。